溺れる君との映画
という映画が11月5日から公開しています。
恋愛漫画原作というこの映画。
漫画原作という映画を好んで見ないのですが、少しばかり気になって観に行ってみました。
まず軽いあらすじをどうぞ。
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都会でモデルをやっていた夏芽(小松菜奈)は親の都合でど田舎に。出会った人は激しく自由に生きるコウ(菅田将暉)コウを見た瞬間眩い閃光とやらが夏芽の中を貫き、恋愛感情を抱く。
コウちゃんに酷いことを言われても背中を追い続ける夏芽にそっと寄り添う大友(重岡大毅)
コウちゃんに憧れを抱くカナ(上白石萌音)
全ての想いが交差しヒリヒリする10代の熱い恋を描いた
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小松菜奈さん菅田将暉さんW主演、そして山戸結希監督という有望若手が揃ったこの映画。
恋愛漫画原作、恋愛映画というのはとにかくキュンキュン青春映画というイメージでしたが、この映画は一味二味と違くて。
ヒリヒリとくる10代特有の危うさ儚さ透明感。
なんだ、全くキュンキュンこない。全く見えない。
そんな二人の世界は私には理解できないような、でも憧れを抱くような不思議な空気があります。
ひたすらに追いかける熱い恋。突き放されても突き放されても、追いかける。
そんなひたすらな恋は10代だからこそ、制服を着てるからこそできるもの。
何か退屈なように生きてる夏芽には自由に生きるコウに衝撃があったのだろう。
何かと望めば手に入ってきた夏芽には、自分の思い通りに行かないコウが尚更眩かったのだろう。
とある事件の後、心を閉ざした夏芽に寄り添い恋心を抱く大友は、コウとは違った眩しさがありました。
コウの眩しさは、非現実的で自由で刺激的で。
大友の眩しさは、愛らしくて優しくて素敵で。
きっと女の子だったらずきゅんとやられちゃうような。そんな男の子。
コウと大友は友達なのですが、その2人の友情は描かれることは少なくて。そんな2人が唯一話すシーン、これがすごく素敵で。夏芽とカナはあれほどギクシャクしてるのに、すごく2人ともフラットなんです。素敵な友情だなって。
たまに垣間見れるコウちゃんの人間らしい瞬間。
それが非現実的だけでは終わらせないのです。
ずるいなぁ。非現実的で終わらせてもいいのに、人間らしい瞬間なんて見せられたらずるいじゃん。
先ほど触れた通り、カナと夏芽はとある事件の後からギクシャクし始めます。
カナは幼い頃からコウちゃんに憧れを抱いていて、中学生の頃は夏芽とコウちゃんを崇拝してたのです。
でも高校デビューをしたカナは、夏芽のことをどんどん軽蔑していって。女の子のギクシャクした感じ。「わかる、うんうんあの上辺だけの会話。」って女の子だったら少し分かるかな。
カナの心情が、手にとって分かるような。そんな演技をしてらした上白石萌音さんがまた素敵だったのだなぁ。
4人のはたまた他の人までもの想いが交差し、こんなにも混じり合わないのです。
そして歌、主題歌ドレスコーズ。挿入歌。
彩り方が素晴らしい。
最初ドレスコーズのコミックジェネレーションが主題歌と聞いたとき、普通の恋愛ものではなかなか見られない。予告と合わせてみると不思議。でも本編を観てみればわかりますよ。合うんだこれが。エンディングからの流れがかなり自然なの。使い方が素晴らしいなぁ本当に。
挿入歌になってる大森靖子さんの歌。いつもの歌声とはまた違った表情に見える。と思ったら挿入歌は違う方(千史さんと言ったかな?)が歌っているらしい。
なるほど、そんな使い方もあるのか、、
使いこなした一体山戸監督は何者なのか。
すごかった。
安い言葉でしか出てこない自分に腹がたつが、素晴らしかったの。
とにかく素敵な世界で、でも一言で素敵とは言えない恋で。
とにかく観て欲しい。なんのきっかけでもいいのです。テレビで見て気になった。演者に興味がある。一回でいいから。ぜひ劇場に観に行って。
山戸結希監督の、素敵な世界に。ぜひ溺れて。